扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行については、どのような特例が定められているか
夫婦は互いに協力扶助しなければならず、婚姻から生ずる費用を分担しなければなりません。一定の範囲の親族は、互いに扶養する義務があります。夫婦が離婚する場合は、子の監護に要する費用(養育費)を定めます。これら、婚姻費用、扶養料、養育費は、確実に支払を受けるべき要請が強いと言えます。
そこで、これらの金銭債権についての強制執行については、特例が定められています。
強制執行は、原則として、履行期の到来していない請求権についてはすることができないものとされています。しかし、扶養義務等に係る金銭債権が、確定期限付定期金債権である場合(毎月何日などと支払期日が定められている場合)に、その一部について支払が遅れた場合は、まだ支払期日になっていない債権についても、債権を差し押さえる方法による強制執行をすることができます。この場合は、差し押さえることができるのは、各請求債権について、その支払の期限が到来した後に弁済期が到来する給料などに限られます。
また、債権を差し押さえる方法による強制執行では、給料などの債権を差し押さえる場合は、一定範囲について差押えが禁止されますが、扶養義務等に係る金銭債権を請求債権として給料などの債権を差し押さえる場合には、差押えの許される範囲が広がります。