証券会社から、証券投資は、投資家が自分の判断で行ったものであるから、それで損失が生じたとしても、投資した者の自己責任であるなどと言われました。証券会社には何の責任もないのでしょうか。
証券取引の対象となる商品は、抽象的な権利であり、その内容も多岐にわたり、複雑であることが多いことから、一般投資家にとっては、大変わかりにくいものです。このため、証券会社が一般投資家の自己責任を問うためには、知識や情報もある証券会社の側で一般投資家に対して十分な説明義務を尽くし、自己責任を問えるだけの判断材料を提供する必要があります。
したがって、具体的事情にもよりますが、証券会社の勧誘方法に問題がある場合等には、証券会社に対し説明義務違反などの責任を問えることがあります。
未公開株商法とは何ですか。
未公開株商法とは、取引所に上場されていない株式(未公開株)について、「上場間近です。」、「近い将来、確実に値上がりします。」などと偽りの勧誘をして、高額な未公開株を購入させる商法です。
いつまで経っても株の上場がされないことを不審に思って、購入者が販売業者に問い合わせても、販売業者はさまざまな理由をつけて購入者を納得させ、さらに株の購入を重ねさせて、被害が拡大することがあります。その後、販売業者が廃業するなどして全く連絡がとれなくなることが多いようです。
未公開株商法については、販売業者に対し、一旦代金を支払ってしまうと、その後の被害回復が困難になりますので、よく注意する必要があります。
不動産を購入しようとしているのですが、契約内容が複雑でよくわかりません。どうしたらよいですか。
不動産は高額な買い物ですから、後になって後悔しないためにも契約内容はきちんと確認しておきましょう。その際には、販売者から事前にもらえる重要事項説明書をまず確認することが重要です。重要事項説明書とは、取引の対象となっている不動産や、契約の内容について説明するための書面です。この書面に記載されていることをしっかり理解したうえで、契約するかしないか判断するようにしてください。
もし、重要事項説明書を読んでも契約の内容がよくわからないときには、弁護士に相談すると良いでしょう。弁護士にご相談いただければ、契約内容等についてわかりやすくアドバイスいたします。
購入した中古の建物に欠陥があったので販売者に損害賠償を請求したいのですが、できますか。
契約の趣旨に適合しないような欠陥があるときには、損害賠償請求ができる場合があります。また、その欠陥が重大で、欠陥のせいで契約した目的を達成できないようなとき等には、契約を解除できることもあります。
相手方への請求額が不動産の価格に比べて少額なのですが、それでも強制競売は申し立てられるのですか。
はい。相手方への請求額がいくらであっても、強制競売の申立てをすることができます。
差し押さえようとしている不動産に住んでいる人がいるのですが、それでも強制競売の申立てはできますか。
はい。対象となる不動産に住んでいる人がいたとしても、強制競売の申立てをすることができます。
強制競売手続によって不動産が売却されると、その不動産の所有権は競売の買受人に移転します。買受人は、その不動産の居住者に対して引渡しを求めることができます。ただし、対抗力のある賃借権があるなどの場合には、買受人であっても引渡しを請求できないことがあります。
担保不動産競売をするためには、まずお金の借り主に裁判で勝たないといけないのでしょうか。
裁判をする必要はありません。相手が約束どおりにお金を払ってくれない場合には、裁判を経ず直ちに競売手続に入ることができます。
担保に取っていた不動産が第三者に差し押さえられ、強制競売手続の申立てがされてしまいました。担保権はどうなるのでしょうか。
第三者が申し立てた強制競売手続によって不動産が売却されると、担保権は消滅してしまいます。ですが、担保権を有していた人は、強制競売手続による売却代金から、強制競売の申立てをした債権者や一般の債権者より優先的にお金を回収することが可能です。
自宅を新築するため、建設会社と工事請負契約を締結したいと思っていますが、注意すべき点はありますか。
契約内容が明確であるか等を十分に確認し、納得のいく契約内容になった場合に契約を締結することが重要です。
確かに、自宅を新築する場合、完成までに一定程度の期間を要したり、工事に多数の人間が関与することになることなどから、工事開始後に契約締結段階では予測できないような問題等が生じることも少なくありません。また、どうしても契約当初には、時間がないなどの理由から、簡易な契約書しか作成することができない場合(「詳細な内容は、工事が開始した後で、注文者と請負人が話し合って詰めていく」という形で工事が始まる場合)もあります。
このように、工事開始後に当初予測できなかった問題等が生じた場合や、工事途中で細部を決めざるを得ないような場合、通常、注文者と業者との間で話し合いを行うことになると思われますが、その場合は、その内容等をできる限り詳細(工事箇所や、その箇所の費用、使用する材料の内容など)に書面化すべきです。特に、建築トラブルの多くは、「代金」と「工事内容(欠陥等)」ですので、注文者は、これらの問題については、話し合い等の結果を書面に残しておくべきです。
なお、書面を作成する場合、一方当事者の認識だけを記載しているように読めるようなものではなく、注文者と請負人(建築会社)の両方が合意していることがわかるような記載を心がけるべきです。
以上のような注意点は、新築住宅の建築を頼む場合だけではなく、建売住宅を購入する場合や、リフォーム工事を依頼する場合にも妥当するものです(リフォーム工事の場合は、特に気をつける必要があります。リフォーム工事に欠陥がある場合、その欠陥が工事によって生じたのか、もともとあった欠陥なのかを判断するためには、工事の「前」と工事の「後」とを比較する必要がありますので、工事の「前」の状況等に関する書面については、できる限り詳しいものを残すように心がけるべきです。)。
新築住宅が完成した後、業者から追加・変更工事の代金として、高額な追加代金を請求してきたのですが、支払わなければならないのですか。
あなたと業者との間で追加・変更工事に関する合意がなされ、その合意どおりに業者が追加・変更工事をした場合であれば、原則として、合理的かつ相当な金額を報酬として支払わなければなりません。これが口頭での合意であったとしても、同様に、報酬を支払わなければなりません。
口頭で追加・変更工事がなされた場合、「そもそもそのような合意があったのか否か」ということと、「合意があったとして、追加費用は合理的かつ相当か」ということが主に問題になることが多いと思われます。
前者について裁判などで争われた場合、結論はケースバイケースになると思われますので、そのような紛争を事前に防止することが重要になります。そのためには、口頭で追加・変更工事の約束をしないことが重要です。また、追加・変更工事の内容等をできる限り詳細に書面化すべきです。
後者については、「工事内容の相場」が明確でないことから、この点が裁判で争われた場合も、結論はケースバイケースになると思われますので、そのような紛争を事前に防止することが重要になります。そのためには、事前に、費用内容についても、業者と綿密な打ち合わせ等を行い、納得できる金額でなければ追加・変更工事を行わないという対応が重要です。