業者に自宅の新築工事を依頼したのですが、工事途中で欠陥があることが判明しました。業者に対して抗議したのですが、業者は抗議を受け入れずに工事を続けています。どうすれば良いでしょうか。
1 基本的な考え方
業者には、原則として、欠陥のない建物を完成させる義務があるので、あなたは、業者に対して、相当の期間を定めて欠陥の補修を催告することができますし、業者がそれを履行しないときは、業者の債務不履行(契約違反)を理由として、請負契約を解除することができます。あなたが請負契約を解除した場合であっても、あなたは、欠陥のない既施工部分の報酬を業者に支払わなければならない場合がありますが、解除したことによって生じた損害の賠償を業者に求めることもできます。
2 「欠陥」について
よく問題になるのが、「欠陥」の内容です。欠陥の内容を大きく分けると、「法令、契約書、設計図等に明らかに違反している工事」と「法令、契約書、設計図等に違反しているとは直ちにいえないような欠陥」に分類できるものと考えられます。後者は、「塗装にむらがある」「床にペンキをこぼしたような痕跡がある」「材木の切り方が雑である」など、業者の技術的な問題の場合などです(他にも、契約書等が存在しない又は簡易なものしか存在せず、工事内容の細部に関する合意が不明確で、約束違反かどうかを客観的に判定することが困難な場合があります。)。
前者については、1のような基本的な考え方に従った処理が可能な類型であると言えますが、後者については、そもそも「欠陥か否か」が争われる可能性があります。「むらがあるか否か」や「雑か否か」など、人によって評価が分かれるような問題が含まれていることもありますし、契約書等が不明確で約束違反(欠陥)かどうかよくわからない場合もありますので、後者の場合、「欠陥」自体を明確にすることが容易でない場合が多いと思われます。
「法令、契約書、設計図等に明らかに違反している工事」か否かを一般の注文者が判断することは困難ですから、それを判断するために、第三者の建築士事務所に工事監理業務だけを依頼することも考えられます(別途費用がかかるのが通常です。)。
「法令、契約書、設計図に違反しているとは直ちにいえないような欠陥」については、後で、何らかの法的権利を行使することが困難になる可能性がありますので、とにかく、早い段階で、問題点が明確になるような書面を作成する必要があります。この点についても、第三者の建築士事務所に工事監理業務を依頼することで、中立な立場から適正な工事になるよう尽力してもらえる可能性があります。
3 工事途中での解除について
民法上、請負契約を解除する場合の遡及に関する規定がないことなどから、請負契約が解除された場合、契約当事者は原状回復義務を負うのが原則であるとされています。つまり、例えば、更地に住宅を建てる契約の途中でその契約が解除された場合、業者は、建築途中の建物を壊して更地に戻したうえで、その土地を注文者に返還する義務を負うということです。
しかし、ケースによっては、上記のような解除が制限される場合があるので注意が必要です。つまり、建築工事において、工事内容が可分であり、かつ当事者が既施工部分の給付について利益を有するときは、特段の事情がない限り、既施工部分に関する契約を解除することはできません。どのような場合に解除が制限されるのかということは、様々な事情を考慮して判断されることになるので、ケースバイケースと言わざるをえません。
業者に自宅の建築を頼み、自宅が完成したので、その自宅の引渡しを受けて生活していたところ、住み始めてしばらくしてから、雨漏りがするようになりました。これは、業者が手抜き工事したことが原因ではないかと考えております。建築業者に対してどのような請求ができるのでしょうか。
1 基本的な考え方
完成した自宅に請負契約の内容に適合していない欠陥が存在する場合、あなたは、業者に対して、相当期間を定めて、修補することや報酬の減額を請求することができますし、あなたに「損害」が生じていれば、その損害を賠償するよう請求することができます。
2 因果関係
仮に、完成した自宅に欠陥があったとしても、それが、建築業者の工事によって生じたものと言える必要があります。例えば、雨漏りがあったとしても、その原因が、近所の子どもが野球をしていて、ボールが屋根にぶつかったことが原因で雨漏りするようになった場合などは、明らかに業者の責任ではありませんので、業者に対して雨漏りの責任を追及することはできません。そのため、雨漏りの原因が、建築工事の不備等の原因を調査する必要があるのですが、このような調査には建築士などの建築の専門家の力が必要ですので、自宅の問題に気付いた場合には、速やかに建築士などの建築の専門家に相談すべきです。
3 損害
雨漏りのケースであれば、雨漏りによって床が腐ったなどの事情があれば、その床を修繕する費用などが損害になると思われます。また、上記のように、建築士に依頼して欠陥の調査をした場合、調査費用なども損害と認められる可能性があります。
4 責任の存続期間
自宅に欠陥があることをあなたが知ってから1年以内に業者に対し,欠陥について通知をしなければ,上記の欠陥について業者に責任を追及することができなくなります。
また、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という特別な法律が存在しており、新築住宅における一部分(構造耐力上主要な部分等)については、引渡しから10年間、建築業者は瑕疵担保責任を負い、10年より短い期間を定めた特約は無効であるとされています。
国選弁護人とはどういう人?
国選弁護人は、資力がないなど一定の要件を満たす被疑者・被告人の弁護のために、国が選任する弁護人です。国選弁護人は、無罪判決を得るための方策を考えたり、被疑者・被告人に代わり被害弁償をしたり、被害者と示談をしたりするなど、被疑者・被告人のために活動をします。国選弁護人に対する報酬は国(法テラス)から支払われるため、被疑者・被告人自身は、多くの場合、弁護費用の負担を免れます。
国選弁護人と私選弁護人との違いは?
国が選ぶか(国選)、被疑者・被告人ないしその関係者が選ぶか(私選)の違いはありますが、どちらも被疑者・被告人の権利・利益を守るために最善の弁護活動をすべきであるという点で違いはありません。もっとも、国選弁護人が選任されるのは、勾留された後であり、逮捕段階では選任されないので、逮捕段階や逮捕前の段階で弁護を依頼したいという方のニーズに応えることはできません。この点、私選弁護人であれば、逮捕段階や逮捕前の段階においても選任することができますので、依頼者の逮捕・勾留その他の不利益を防ぐための弁護活動をすることが可能です。
また、国選弁護人の選任は、原則として1人しか選任が認められていませんが、私選弁護人であれば、被疑者段階では3人まで、被告人段階では原則として人数の制限なく選任が認められていますので、マンパワーを発揮した機動的な弁護活動が可能です。
起訴と不起訴の分かれ目は?
起訴するか否かは検察官の裁量に任されているため、明確な基準というものはありませんが、一般的に、嫌疑が十分か否か、被害弁償の有無、被害者との示談の有無、過去の犯罪経歴、反省の態度等が考慮されているようです。
実刑と執行猶予の分かれ目は?
実刑か執行猶予かは、様々な事情を総合的に考慮して、最終的に裁判官が決めるため、明確な判断基準というものはありませんが、過去の裁判例の傾向からすると、犯罪自体の重大性、犯罪に関する情状の軽重、被害弁償の有無、被害者との示談の有無、前科の有無等が考慮されているようです。
保釈は必ず認められるの?
必ず認められるものではありません。法律上、被告人に罪証隠滅(証拠を破壊したり、隠匿したりすること)や証人威迫(証人を脅したりすること)等のおそれがない場合には保釈を許さなければならないとされています(刑事訴訟法89条)。しかしながら、裁判所は、罪証隠滅のおそれを理由として保釈請求を却下するケースが多く、司法統計によれば、地方裁判所による保釈許可率は、近年は50パーセント前後で推移しているようです。
少年事件でも国選弁護人は付くの?
少年が逮捕・勾留されれば、成人の場合と同様に、一定の要件を満たせば国選弁護人が選任されますが、少年が家庭裁判所に送致された後はその資格を失います。さらに、国選付添人(成人の場合の国選弁護人)は、一定の重大犯罪を犯した少年についてのみ選任されるので、少年事件においては、私選で付添人を選任する必要が出てくるケースが多くなります。なお、資力が乏しい場合には、弁護士会と日本司法支援センター(法テラス)とが協力して行っている「少年保護事件付添援助制度」を利用することができるため、この制度を利用して、弁護士費用の負担をせずに付添人を付けられるケースがあります。
付添人はどのような活動をしてくれるの?
非行事実そのものを争う活動をしたり、被害者がいる事件では、被害者に被害弁償し、示談できるよう努力したり、環境調整をしたりします。また、少年事件では、家庭裁判所の調査官、少年鑑別所の技官その他の関係者の意見が重視されますので、必要に応じて学校の先生との面談や調査官や技官との面接も重ねながら、少年の福祉や更生のために必要な活動をいたします。
少年審判では、どのような処分がされるの?
少年審判については、審判不開始や不処分となることがあります。少年の保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致、④試験観察があります。
① 保護観察:保護司の指導・監督に服し、定期的な報告義務がありますが、従来どおり自宅で生活することができます。
② 児童自立支援施設・児童養護施設送致:親の十分な監護が期待できない場合に、適当な施設に入所させ、少年の社会復帰を促します。
③ 少年院送致:親の十分な監護が期待できず、少年の非行が進んでいる場合には、少年院に入所させ、少年の更生を促します。
④ 試験観察:少年の様子をしばらく観察してから最終的な処分を決定する方法で、親元に帰される場合と施設に預けられる場合とがあります。