少年であっても大人と同様に法廷で裁判されることがあるの?
少年事件の場合、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されますが、一定の重大な犯罪等を犯した場合には、家庭裁判所から検察庁に事件が送り返され(逆送事件)、送り返された事件については、検察庁は原則として起訴すべき義務を負います。検察官による起訴後は成人の場合と同様、公開の法廷で刑事事件の裁判を受けることになります。
給料の一部を在庫商品等で現物払いすることは許されますか。
賃金は原則として通貨で支払わなければならないため、現物払いをすることはできません。ただし、労働組合と合意ができ、会社と労働組合との間に協約が結ばれた場合は例外的に可能です。
給与からの天引きは、どのような場合に許されますか。
賃金は、原則として全額を支払わなければなりませんが、給与所得税の源泉徴収、社会保険料の控除、財形貯蓄金の控除などは、法律によって特別に認められています。また、労働者の過半数で組織する労働組合またはその過半数を代表する者と協定を結べば、全労働者の給与から積立金や貯蓄金等を天引きすることができます。
震災により会社が被災したため、自宅待機を命じられた場合、その間の賃金は請求できますか。
会社の営業所が全壊した場合や、工場が停電により操業できなくなった場合など、不可抗力による休業の場合は、その間の賃金を請求することはできません。ただし、震災により、主要な取引先から原材料を入手することができなくなって休業した場合で、使用者が努力すれば他から原材料を入手できたような場合など、不可抗力とまではいえない休業については、使用者は、労働者に対し、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う義務があります。
数回遅刻、欠勤を繰り返しただけで、職場を解雇されたことは、不当解雇に当たりますか。
数回の遅刻や欠勤が、仕事に大きな影響を与えなかったのであれば、解雇は重すぎるため、不当解雇にあたるといえます。一方、遅刻といえども、使用者が何度も注意しても正されず、将来的に正される見込みもない場合には、解雇が認められる可能性があります。
休暇中に事故にあって怪我をし、入院をした場合、そのことを理由として解雇されることはありますか。
仕事と関係がない原因により怪我や病気をした場合で、一時の入院にとどまらず、長期間にわたって働くことができない場合は、仕事の提供ができないことを理由として解雇することが認められます。ただし、軽作業であればできる程度の病気であり、軽作業をする部署が他に存在する場合や、休職制度が設けられている場合に、職場の変更や休職制度の利用をすることなく、直ちに解雇した場合には、不当解雇にあたる可能性もあります。
業務中に起きた事故により怪我をした場合、そのことを理由として解雇されることはありますか。
仕事を原因とする怪我や病気のために働くことができない労働者については、その怪我や病気を治す期間に30日を加えた期間は、解雇してはならないことになっています。しかし、治療を始めてから3年経っても怪我や病気が治らない場合には、使用者は、解雇理由がある限り、平均賃金の1200日分の補償を支払うことにより、解雇することが可能です。
職場でパワー・ハラスメントが行われた場合、行為者個人だけでなく、事業主にも責任はありますか。
事業主は、労働者の健康を害することのないよう、また、労働者の人格的な尊厳が傷つくことにより、仕事に支障を生ずることのないよう、職場の環境を適切なものにする義務があります。事業主が、職場内でパワー・ハラスメントが行われていることを知っており、被害が発生することを予想することができたにもかかわらず、それを放置していた場合には、事業主は従業員に対し、損害賠償の責任等を負います。
職場でセクシャル・ハラスメントが行われた場合、行為者個人だけでなく、事業主にも責任はありますか。
事業主は、セクシャル・ハラスメントを予防するために、職場においてしてはならないことを明確し、これを従業員に徹底させるための活動を行うこと、被害者が相談できる窓口を設置すること、相談があった場合、事実関係を調査し、適正に対処することなどが義務づけられています。事業主がこれらの義務を怠った結果、従業員に対するセクシャル・ハラスメントが起きた場合は、事業主は従業員に対し、損害賠償の責任等を負います。
当社は、自動車の修理・整備業を営んでおりますが、これまでの仕事のやり方は、注文主から依頼があると、修理等が必要な箇所をチェックして見積書を作成し、その見積書どおりでよいとなれば、特に契約書というタイトルの書面は作らず、車両のナンバーや修理作業の名称等を記載した簡単な内容を記載した注文書を、手渡しでもらうか、ファックス等で送ってもらえばそれで受注となり、仕事を始めます。途中で、工事内容の変更希望等があった場合は、電話や口頭で聞き取り、これらの変更も反映したうえで仕事を完了しますが、この変更については、改めて見積書を作る場合もありますが、口頭で追加料金が発生することを伝えるだけで、そのまま工事を進めてしまうことも多くあります。 そして、仕事完了後に、注文主に対して、変更部分も反映させた請求書を出して代金を回収するのですが、時折、お客様の中には「追加工事はサービスで、無料だと思っていた。追加分の見積書ももらっていない。」とか、「見積書は見たが、見積書どおりの金額を払うとは言っていない。見積書どおりでよいと認めた契約書も作っていない。本当は、見積書の修理内容より安くて良い方法があったはずだ。それをやらなかったのはお宅の責任だから、安くて良い他のやり方でかかる費用分しか支払わない。注文書にも、見積書と全く同じ工事をやってほしいとか、見積書どおりの代金を払うといった記載はないはずだ。」とかいうような主張をして追加分の支払いを拒む方や、修理を完了してお客様に車両を引き渡し後、1か月以上も経ってからやってきて「ここの傷の修理も頼んだはずなのに直っていないじゃないか。無料で直してくれ。」などと言って、修理後に新たに付いたと思われる自損事故の傷の修理を無料で要求する方もいらっしゃいます。 このような事態が生じた際、当社としては、当然、お客様の要求について納得できるはずもないのですが、このような件でもめると当社の評判が落ちてしまうのではないか、あるいは、お客様と法的に争うと高額の弁護士費用がかかるのではないか、などと考えてしまい、結局、お客様の要求に応じてしまうことがあります。 しかし、いつまでもこのようなやり方を続けていくことには疑問や不安を感じており、何か良い方法がないか質問させていただきます。
ご質問のケースでは、予め弁護士に相談・依頼して契約書の書式(例えば、見積書と同内容の修理を正式に依頼する旨の文言、見積書の金額と同内容の金額を払う旨及び追加・変更等が生じた場合には新たな見積書に基づく代金額を異議なく支払う旨の文言、修理完了後に速やかに確認をして車両を受け取った後は修理未了等を理由とする無料修理の依頼はできないものとする文言等を入れたもの)を作成し、契約時には必ずこれを使用することとし、さらに、見積書その他の適当な書面に相手方の署名欄を設けて、都度必ず相手方から承認のサインをもらうようにするなどの備えをすれば、問題の多くを未然に防ぐことができます。
我が国では、事件が発生したり、損害が生じたり、裁判を起こされたりした後に、初めて弁護士に相談に行かれる企業がこれまでは多かったように思われますが、問題を放置したために甚大な被害が生ずるおそれのある状態に至った後に初めて弁護士に依頼するよりも、早い段階から顧問弁護士を確保し、被害が発生していない段階、あるいはわずかな被害にとどまる段階から気軽に顧問弁護士に相談できる体制を整えておいた方が、被害自体を未然に防いだり、被害を最小限に食い止めたりすることができるだけでなく、費用の面でも結果的にリーズナブルなものとなることが少なくないと思われます。このような法務面の備えは、予防法務と言われており、近時は、予防医学と同様に、その重要性が認識されるようになってきました。「何かあったら弁護士に頼む。」ではなく、「何も起きないように弁護士に相談する。」という考え方が、企業の予防法務という観点からは極めて重要であるといえます。
また、ご質問の注文主が普通の方ならまだ良いのですが、仮に、暴力団等の反社会的勢力や不当なクレーマー等であった場合には、さらに対応に苦労することとなります。これら反社会的勢力や不当なクレーマー等から企業を守り、その他の面でも法的な備えを万全にして企業を防衛するという意味でも、顧問弁護士の存在は重要です。
くわえて、顧問弁護士を確保することで、取引先や交渉相手等から、法務面に関する意識の高い企業であると評価され、取引や交渉等において一目置かれる存在となり得るという効果も期待できます。
より大きな観点からみても、現代の企業活動においては、法令を遵守し、社会に貢献しながら利益を上げていくという姿勢が強く求められています。それゆえ、コンプライアンス(法令遵守。企業倫理という意味で使用されることもあります。)は、今や企業活動にとって必要不可欠の大前提ともいえます。同様に、企業における内部統制(ガバナンス)の重要性も強く意識されるようになってきており、企業の社会的責任(CSR)について語られる機会も増えてきています。
これらの理由から、弁護士と顧問契約を結んで、顧問弁護士を確保することをお勧めいたします。