自己破産
自己破産とは、債務者が借金等の支払いができない状態にある場合に、裁判所に対して破産手続開始の申立てを行い、一定の範囲で債務者の財産を処分することによって金銭化し、その金銭を債権者に配当する手続です。
自己破産は、任意整理と異なり裁判所が関与する手続であり、原則として債務のほぼ全額の支払を免れることができます。もっとも、自己破産によって、警備員や宅地建物取引業者などの資格については一定期間の制限が課せられるほか、自己破産手続が開始すると官報に公告がなされます。また、所有している不動産については原則として手放さなければなりませんが、一定限度の財産については手元に残すことが可能です。
民事再生
民事再生とは、経済的に窮境にある債務者が、債権者の多数の同意を得て、かつ裁判所の認可を受けた再生計画を定めることにより、債務の減免や弁済期限の猶予等を得たうえで、自らの事業・経済生活の再生を図っていくという手続です。
破産とは異なり、債務者は経営権や財産の管理処分権を失うことなく、再生計画に定められた条件に従って、返済を行っていくことになります。
なお、通常の民事再生手続は、中小企業を主な利用者として想定しており、個人が利用する場合には費用やコストの面で負担が大きいことから、一定の要件を満たす個人債務者を対象とした、より簡易迅速な手続も用意されています(小規模個人再生など)。
特定調停
平成11年に成立した、特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律に基づく制度です。
支払不能に陥るおそれ等のある金銭債務者が、債権者を相手方として裁判所に調停を申し立てることにより、裁判官と調停委員からなる調停委員会が弁済計画を立てて調停条項を作成し、当事者双方の合意により調停が成立するという手続です。
過払金請求
過払金請求とは、貸金業者等に対して、借り手が法律上返済する必要がないのに返済した金銭を、返還するよう請求する手続です。
利息制限法は、貸金元本の額に応じて約定利息に上限を設けており、15~20%を超える利息は無効となりますが、これに違反した貸付けを行った場合の罰則規定は設けられていません。
一方、平成18年12月改正前の出資法は、約定利息が29.2%を超過した場合にのみ貸金業者に刑事罰を科し、また、改正前の貸金業法には、利息制限法の上限利率を超える利率による貸付けをしても、例外的に超過利息分を有効と認める旨の規定がありました。
そのため、利息制限法においては無効であるにもかかわらず刑事罰を科せられず、また、法定利率を超える利率による貸付けが事実上許される結果となる、いわゆるグレーゾーンの範囲が生じ、貸金業者の多くは、このグレーゾーンの範囲内の約定利息で貸付けを行ってきました。
しかし、その後の裁判例や法改正により、法定利率を超える利息で貸付けが行われた場合、その超過部分についての利息の支払を無効として、借り手は、原則としてその返還を求めることができるようになりました。
交通事故
現代の車社会では、誰もが交通事故に遭う可能性があります。
多くの人は交通事故に遭うと慌ててしまい、何をしたらよいのかわからなくなりますが、慌てて行動すると間違った判断をくだし、後々まで紛争が長引くことがあります。
そうした事態を避けるためにも、普段から交通事故に遭った場合、どのように対応するか、考えておくことが重要になります。
借地・借家・賃貸借
賃貸借契約は、貸主が借主に目的物を貸し(使用・収益させ)、借主が貸主に賃料を支払う契約ですが、目的物が不動産である場合は、賃貸借契約一般に適用される法律とは別の法律が適用される場合があります。
不動産取引
不動産を対象とした取引を不動産取引といいます。不動産とは土地や建物のことです。
不動産取引は複雑な面もあり、不動産取引の経験が豊富な方ばかりではないため、しばしば契約内容を巡ってトラブルが生じてしまいます。
強制競売
裁判で勝って金銭の支払いが認められたとしても、それだけでお金がもらえるわけではありません。相手が任意に支払ってくれないときには、強制執行という手続によって相手の財産からお金を回収する必要があります。そのための方法の1つが、強制競売です。
強制競売は、対象となる不動産を差し押さえたうえで、裁判所の競売手続によって売却し、その代金からお金を回収するというものです。不動産は一般的に高額なので、お金を効果的に回収することができます。
担保不動産競売
他人にお金を貸すときに、不動産を担保に取ることがあります。そうすることで、貸したお金を返してもらえないときに、その不動産を競売により売却して、その代金から貸したお金を回収することができます。これを担保不動産競売といいます。
担保不動産競売も、強制競売と同じく、対象となる不動産を差し押さえたうえで、競売によって売却し、その代金からお金を回収するというものです。
建築紛争
「建築」には、自宅を新築する場合だけでなく、自宅のリフォーム工事の場合、自宅の庭に小さな倉庫を建てる場合、大きなビルを建築する場合、自宅の庭にアスファルトの道を造る場合(いわゆる土木工事)など、様々な形態があります。そして、建築形態や規模によって、注文者の要求内容や建築業者の作業内容が異なってきます。トラブルの内容も様々なケースがあり得ますし、特別な法律が存在する場合もありますので、解決方法もケースによって異なってくる可能性があります。
また、建築に関わる関係者は、注文者と請負人たる建築業者だけでないことも多く(建築業者は、部分的な工事を別の専門業者に依頼することがあります。)、関係者によって、その生じ得るトラブルの内容は異なります。例えば、注文者側であれば、業者の対応や工事内容に不満を持つというトラブルが比較的多いと思われますし、建築業者側であれば、注文者がきちんと代金を支払ってくれないというトラブルが比較的多いと思われます(その他にも、元請業者と下請業者との間のトラブルなども考えられます。)。
このように、「建築紛争」と言っても、その紛争の内容は「どのような建築なのか」「誰の誰に対する不満なのか」などによって異なり、また、考えられるトラブルは非常に多岐にわたるものであるため、考えられるトラブルを網羅的に取り上げることはせず、ここでは、比較的、一般の方が身近に巻き込まれる可能性のある「自宅を新築した場合に注文者が巻き込まれる可能性のあるトラブル」を取り上げます。
なお、建築紛争においては、建築士などの建築の専門家の力を借りることが有益であることが多いので(特に、注文者側が建築業者に対して不満等を抱えている場合)、法律家への相談も重要ですが、建築士などの建築の専門家に相談することも重要であることが必要な場合もあります。