私は、妻の不倫を理由に離婚調停をしましたが、不成立に終わりました。そこで、離婚訴訟を起こすとともに不倫の相手の男性にも慰謝料を請求する訴えを起こしたいと考えていますが、離婚訴訟とは全く別の訴訟として扱われるのでしょうか。
離婚請求と離婚の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求は一つの訴えですることができます。したがいまして、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する際に、併せて不貞行為の相手方に対する損害賠償請求訴訟を提起することができます。
私は、結婚後ずっと専業主婦をしていましたが、夫との離婚を考えています。夫婦間には特に財産もないので、老後が不安なのですが、離婚時年金分割制度というものがあると聞きました。離婚時年金分割制度とはどのようなものなのか教えてください。
離婚時年金分割制度とは、配偶者の厚生年金及び共済年金について保険料納付実績を分割し、分割を受けた第3号被保険者(第3号被保険者=厚生年金、共済年金の加入者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の者)に対し、分割後の保険料納付実績に基づいて算定された額の年金受給権が発生するという制度です。
種類としては、合意分割と3号分割の2種類があります。合意分割は、夫と妻が、年金を分割することとその分割割合について合意していれば、離婚時に、婚姻期間の保険料納付実績を合意によって定められた割合(最大50パーセント)で分割できるというものです。夫婦間の協議で合意が成立しない場合は、調停、審判によって按分割合を決めることとなります。
3号分割とは、夫婦の一方が、平成20年4月以降に、第3号被保険者であった期間がある場合に、厚生労働大臣等に対して請求することで、その期間(平成20年4月1日以降の部分に限られます。)の保険料納付実績の2分の1を当然に分割する制度です。
私は、夫と離婚協議中であり、子どもの親権者には私がなり、私が子どもを引き取ることで合意しましたが、養育料の額で折り合いがつきません。適正な養育料の額を知りたいのですが、養育料はどのようにして決められるのでしょうか。
養育料の支払義務は、子どもに対し、自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させる義務であり、父母双方の収入を基準に決められます。現在の調停・審判においては養育料算定のための表が活用されており、この算定表を目安に養育料を決めるケースが多いといえます。
現在、子どもが17歳の高校2年生であり、大学進学を希望しております。そこで、養育料を子どもの大学卒業まで支払ってほしいと考えておりますが、認められるのでしょうか。
養育料の支払いは、子どもが20歳になる日の属する月までとすることが一般的です。もっとも、父母双方の合意により、子どもが大学を卒業する月までとすることは可能です。問題は、話し合いで合意が成立せず、審判になった場合ですが、父母の経歴、経済状態や本人の学校成績、学校の進学実績などを考慮して、大学進学の可能性が相当程度高いといえる場合には、養育料の支払いは子どもが大学を卒業する月までと認められる可能性があります。
私は、妻と離婚後、子どもの養育料として毎月5万円を支払っていました。しかし、勤めていた会社が倒産してしまい、何とか再就職先を見つけましたが、給与は以前の半分以下になってしまいました。現状では毎月5万円の養育料の支払いでは生活ができない状況ですが、養育料を減額することはできるのでしょうか。
養育料の支払いは長期にわたるので、いったん養育料を定めたとしても、その後の経済情勢や支払義務者の事情の変化によって定められた額が実情に合わなくなることがあります。この場合には、養育料の増額、減額を求めることができます。ご質問のケースであれば、勤務先の倒産による転職で収入が激減したという事情の変化がありますので、減額についての協議、調停、審判をすることをお勧めします。
私は、2年前に夫と別居しました。別居の際、夫から生活費として毎月3万円を受け取るという合意をしましたが、3か月前に勤務先を整理解雇されてしまい、なんとか新しい勤務先に就職できたものの、収入が以前より激減してしまいました。夫に対して生活費を増額するよう求めることを考えておりますが、一度決めた生活費の額を変更することは可能なのでしょうか。
いったん婚姻費用分担額(生活費)を定めたとしても、その後の経済情勢や支払権利者または支払義務者の事情の変化によって定められた額が実情に合わなくなることがあります。この場合には、婚姻費用の増額または減額を求めることができます。ご質問のケースですと、勤務先の解雇による転職で収入が激減したという事情の変化がありますので、夫との協議や調停または審判の申立てをすることで婚姻費用分担額の増額が認められる可能性があります。
私は、夫と別居して3年が経ちます。別居中、夫から全く生活費を受け取っていないので、婚姻費用分担の調停を申し立てようと考えています。調停においては、どの時点からどの時点までの婚姻費用の請求をすることができるのでしょうか。
調停においては、申立時を婚姻費用(生活費)支払いの始期とすることが通常ですので、原則として、申立時から離婚時または別居関係の解消時までの婚姻費用を請求することができます(なお、次のQ及び、その次のQを参照)。
私は、1年前に子どもを連れて夫と別居しました。夫との間で別居時に毎月7万円の生活費を支払ってもらう約束をしましたが、これまで一切生活費を受け取っていません。しかし、自分1人の収入では生活が苦しいので、夫に対し、別居してからの分も含めて生活費を請求したいと考えていますが、可能でしょうか。なお、離婚は考えていません。
別居開始時から請求時までの婚姻費用の未払い分(過去の婚姻費用の未払い分)は、相手方との間で合意が成立し、これを証明することができれば、請求は可能です。
私は、夫と2年前に別居していますが、関係の修復は不可能なので、離婚を決意しました。別居中、夫から生活費を全く受け取っていなかったので、夫に対し、未払いの生活費の支払いを求めたいと思いますが、可能でしょうか。
過去の婚姻費用の未払い分は、財産分与の際に考慮される事情となりますので、財産分与として、過去の婚姻費用相当額の分与が認められる場合があります。
私は、4年前に男性と浮気をして、子どもを連れて夫と別居しました。しかし、2年前に浮気相手の男性と別れてしまい、現在は、アルバイトで収入も少ない状況です。他方、夫は、私と別居後、事業に成功し、かなりの収入があるようです。子どものことを考え、夫に対し生活費の請求をしたいと考えていますが、別居の原因を作った私が生活費の請求をすることが出来るのでしょうか。
夫婦間に子がいる場合、婚姻費用(生活費)のなかには、子の養育料も含まれます。両親は、子に対し自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させる義務がありますし、そもそも子が夫婦間の別居に対する責任を負うことはないので、婚姻費用のうち、子の養育料相当分については、別居の原因が自分にあるとしても請求が認められると考えられます。
他方、配偶者自身の生活費については、婚姻費用の分担は夫婦の同居協力扶助義務(民法752条)と表裏一体の関係といえるので、不貞行為などがあり同居協力扶助義務に著しく反していることが明らかである(別居の原因につき一方的に責任があることが明らかである)場合には、婚姻費用のうち配偶者生活費分について、通常よりも減額されることが考えられます。他方、同居協力扶助義務に著しく反していることが明らかとまでいえない場合(別居の原因につき一方的に責任があることが明らかとまではいえない場合)には、通常の場合と同様の額の分担請求が認められると考えられます。