暴力団関係者との面談において、メモなどはとった方がよいでしょうか。また、メモをとることに文句をつけられた場合、どうすればよいでしょうか。
暴力団員等との電話、面談による応対内容は、犯罪検挙、行政処分、民事訴訟等に不可欠ですので、確実にメモ、録音、録画し、記録化しておくことが必要です(モニターカメラがあれば一部始終を録画するようにしてください。)。
メモしていることが相手方に分かるのは当然ですが、録音についても、事前に相手方に告げて公然と録音をすることが相手方をけん制するうえで効果的です。たとえ相手が拒否しても「内容を上司に正しく報告する必要があります。」などと告げて録音を励行してください(録音については、相手の言葉はもちろんのこと、当方の言葉も全部入りますので、発言には十分注意してください。)。
暴力団員は不利になると「証拠でもあるのか。」、「言った覚えはない。」などと平気でシラをきりますから、必ず証拠を残しましょう。
記録された資料は、後日、事件として発展した場合の重要な証明資料にもなりますので、大切に保管してください。
応対担当者が面談中、その他の者は、相手方の自動車のナンバーを控える等、できる限り相手方のデータを収集するよう努めてください。
暴力団関係者との面談において、相手方が怒って乱暴な態度に出た場合、どうすればよいでしょうか。
暴力団員が不法行為に及んだときは直ちに110番することが肝要です。
この場合、不要なトラブルを避け、受傷事故を防止するためには、暴力団員に気付かれないように通報することが必要です。もし、暴力団員に気付かれて「なぜ警察を呼んだ。」などと言い掛かりを付けられた場合には、「警察からそのように指導を受けています。」と答えるなど毅然とした態度を取ることが大切です。
なお、こちら側にも非があるような場合、その事実には、できれば警察にも知られずに解決したい気持ちになることもあるでしょうが、隠さず明らかにして相談する勇気を持ち、正しい対処方法で事態を早めに小さく処理しましょう。
暴力団関係者との面談を短時間で打ち切る方法についてアドバイスしてください。
応対は必要最小限にして打ち切ることが重要で、用件にもよりますが、面談当初に相手方に告げた面談時間を経過したとき、そうでない場合は用件を確認したうえで自分なりに決めた時間を経過したときは(いずれにしても30分以内)、「予定の時間が過ぎましたのでお引き取りください。」、「本日は会議がありますので、あと5分で終了させていただきます。」、「時間になりましたので、お引き取りください。」とか、「これ以上お話しても当方の考えは変わりませんのでお引き取りください。」などと明確に告げて退去を求めてください。
また、長引く場合に備えて予め社内から内線電話などを入れてもらうよう打ち合わせをした場合は、実際に電話をもらったのをきっかけにして、面談を打ち切ってください。
「お引き取りください。」、あるいは「お帰りください。」とはっきり意思表示をしたにもかかわらず、相手方が、居座って退去しない場合は、少し間隔を置いて「お帰りいただけなければ警察に連絡します。」と告げてください。それでもなお退去しない場合は、少しの間隔を置きながら3回ほど同じことを告げてください。それでも退去しなければ刑法上の不退去罪を構成するといえるので、110番通報してください。
なかなか容易なことではないかもしれませんが、「対応時間は短く、判断は慌てずに。」という考え方で対応してください。
暴力団関係者との面談終了時に、相手方から「お前が拒否しても俺は納得しない。もう一度社長と相談して、必ず電話をよこせ。」と言われたのですが、相手方の要求に応じて電話をしてもよいかアドバイスしてください。
面談終了後は、特別な事情がない限り、こちら側から相手方に電話を入れるなどして連絡をとることは、相手方に対し付け入る隙を与えるだけなので、連絡等はしないようにしましょう。