未払い賃金
解説
賃金とは、使用者が労働者に対して支払う労働の対価です。賃金は、労働者やその家族の生活を支える生活の糧ですので、確実に労働者の手に渡るように、①日本国内で通用する通貨で、②労働者本人に直接、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日に支払わなければならないという決まりがあります。使用者が賃金を支払わない場合だけでなく、この5つの決まりに反した賃金の支払方法をとっている場合、本来であれば支払われるはずの賃金を請求することができます。
Q&A
給料の一部を在庫商品等で現物払いすることは許されますか。
賃金は原則として通貨で支払わなければならないため、現物払いをすることはできません。ただし、労働組合と合意ができ、会社と労働組合との間に協約が結ばれた場合は例外的に可能です。
給与からの天引きは、どのような場合に許されますか。
賃金は、原則として全額を支払わなければなりませんが、給与所得税の源泉徴収、社会保険料の控除、財形貯蓄金の控除などは、法律によって特別に認められています。また、労働者の過半数で組織する労働組合またはその過半数を代表する者と協定を結べば、全労働者の給与から積立金や貯蓄金等を天引きすることができます。
震災により会社が被災したため、自宅待機を命じられた場合、その間の賃金は請求できますか。
会社の営業所が全壊した場合や、工場が停電により操業できなくなった場合など、不可抗力による休業の場合は、その間の賃金を請求することはできません。ただし、震災により、主要な取引先から原材料を入手することができなくなって休業した場合で、使用者が努力すれば他から原材料を入手できたような場合など、不可抗力とまではいえない休業については、使用者は、労働者に対し、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う義務があります。