刑事事件
解説
犯罪の疑いがかかっている人(被疑者)に、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合、逮捕・勾留されることがあり、最大で23日間身柄を拘束されます。その後、起訴されると「被疑者」は「被告人」と呼ばれるようになり、公判(裁判)が開かれ、最終的には裁判官(裁判員裁判の場合は裁判員も含まれます。)が、被告人は有罪か無罪か、有罪の場合には、実刑か執行猶予か、刑期は何年か、などを決定します。
Q&A
国選弁護人とはどういう人?
国選弁護人は、資力がないなど一定の要件を満たす被疑者・被告人の弁護のために、国が選任する弁護人です。国選弁護人は、無罪判決を得るための方策を考えたり、被疑者・被告人に代わり被害弁償をしたり、被害者と示談をしたりするなど、被疑者・被告人のために活動をします。国選弁護人に対する報酬は国(法テラス)から支払われるため、被疑者・被告人自身は、多くの場合、弁護費用の負担を免れます。
国選弁護人と私選弁護人との違いは?
国が選ぶか(国選)、被疑者・被告人ないしその関係者が選ぶか(私選)の違いはありますが、どちらも被疑者・被告人の権利・利益を守るために最善の弁護活動をすべきであるという点で違いはありません。もっとも、国選弁護人が選任されるのは、勾留された後であり、逮捕段階では選任されないので、逮捕段階や逮捕前の段階で弁護を依頼したいという方のニーズに応えることはできません。この点、私選弁護人であれば、逮捕段階や逮捕前の段階においても選任することができますので、依頼者の逮捕・勾留その他の不利益を防ぐための弁護活動をすることが可能です。
また、国選弁護人の選任は、原則として1人しか選任が認められていませんが、私選弁護人であれば、被疑者段階では3人まで、被告人段階では原則として人数の制限なく選任が認められていますので、マンパワーを発揮した機動的な弁護活動が可能です。
起訴と不起訴の分かれ目は?
起訴するか否かは検察官の裁量に任されているため、明確な基準というものはありませんが、一般的に、嫌疑が十分か否か、被害弁償の有無、被害者との示談の有無、過去の犯罪経歴、反省の態度等が考慮されているようです。
実刑と執行猶予の分かれ目は?
実刑か執行猶予かは、様々な事情を総合的に考慮して、最終的に裁判官が決めるため、明確な判断基準というものはありませんが、過去の裁判例の傾向からすると、犯罪自体の重大性、犯罪に関する情状の軽重、被害弁償の有無、被害者との示談の有無、前科の有無等が考慮されているようです。
保釈は必ず認められるの?
必ず認められるものではありません。法律上、被告人に罪証隠滅(証拠を破壊したり、隠匿したりすること)や証人威迫(証人を脅したりすること)等のおそれがない場合には保釈を許さなければならないとされています(刑事訴訟法89条)。しかしながら、裁判所は、罪証隠滅のおそれを理由として保釈請求を却下するケースが多く、司法統計によれば、地方裁判所による保釈許可率は、近年は50パーセント前後で推移しているようです。