証券被害
解説
証券被害とは、証券会社が、株券の売買等の証券取引において、一般投資家に対し、違法・不当な勧誘行為を行うなどして損害を与えるケースや、未公開株や社債の詐欺的商法により消費者が被害に遭うケースです(なお、証券取引市場においてインサイダー取引等の不正行為があり、一般投資家が損害を被るケースも証券被害の一種ですが、ここでは説明を割愛します。)。
Q&A
具体的に、証券会社のどのような勧誘が問題になるのでしょうか。
典型的なものとしては、①商品のリスクを説明しないで、その商品の有利性のみを強調して勧誘するケース、②価格が変動する商品について、断定的に「価格があがる。」とか「必ず儲かる。」などとして勧誘するケース、③投資家の投資目的、資産状況、投資経験等に適合しない取引を勧誘するケースなどがあります。
証券会社から、証券投資は、投資家が自分の判断で行ったものであるから、それで損失が生じたとしても、投資した者の自己責任であるなどと言われました。証券会社には何の責任もないのでしょうか。
証券取引の対象となる商品は、抽象的な権利であり、その内容も多岐にわたり、複雑であることが多いことから、一般投資家にとっては、大変わかりにくいものです。このため、証券会社が一般投資家の自己責任を問うためには、知識や情報もある証券会社の側で一般投資家に対して十分な説明義務を尽くし、自己責任を問えるだけの判断材料を提供する必要があります。
したがって、具体的事情にもよりますが、証券会社の勧誘方法に問題がある場合等には、証券会社に対し説明義務違反などの責任を問えることがあります。
未公開株商法とは何ですか。
未公開株商法とは、取引所に上場されていない株式(未公開株)について、「上場間近です。」、「近い将来、確実に値上がりします。」などと偽りの勧誘をして、高額な未公開株を購入させる商法です。
いつまで経っても株の上場がされないことを不審に思って、購入者が販売業者に問い合わせても、販売業者はさまざまな理由をつけて購入者を納得させ、さらに株の購入を重ねさせて、被害が拡大することがあります。その後、販売業者が廃業するなどして全く連絡がとれなくなることが多いようです。
未公開株商法については、販売業者に対し、一旦代金を支払ってしまうと、その後の被害回復が困難になりますので、よく注意する必要があります。