相続財産管理
解説
資産や負債のある方が死亡し、その相続人がいるかいないか分からない、あるいは法定相続人が相続の放棄をしたというような場合、これらの資産や負債(相続財産)の最終的な帰属先が決まるまで、相続財産を第三者に管理してもらうことができます。この第三者を相続財産管理人といいます。相続財産管理人は、その財産に利害関係のある方の申立てがあると、家庭裁判所により選任されます。
相続財産管理人が選任されれば、例えば、亡くなられた方(被相続人)の相続人ではないけれども、生前、被相続人の介護等を一手に引き受けてお世話をされた遠縁の方を、特別縁故者と認めて被相続人の財産を受け取っていただくことが可能となりますし、被相続人に対してお金を貸していた方が、相続財産管理人を通じて相続財産から返済を受けることもできます。
相続財産管理について、より詳しくお知りになりたい方は、弁護士にお気軽にご相談ください。
Q&A
私は、友人に500万円を貸していましたが、先日、その友人が亡くなりました。そこで、友人と長年別居していた友人の配偶者と子に返済をお願いしたのですが、友人の件には一切関わりたくないとのことで、いずれも相続放棄をしました。友人の両親は既に亡くなっていると聞いていますが、兄弟のことは詳しく知りません。私が把握している友人の財産は、友人が住んでいた土地・建物と、相当額の預貯金です。 私の貸金を回収するための方法について教えてください。
まず、あなたの友人に兄弟姉妹等の相続人がいるかどうかを確認する必要があります。この調査は、他人の戸籍を調べる方法によるため、あなた自身が行うことは困難ですが、弁護士であれば、職務上、他人の戸籍を調査することが可能なので、お気軽にご相談ください。
調査をしても、他の相続人が見当たらない場合は、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをする必要があります。
これに対して、調査の結果、相続人の存在が明らかになった場合は、その相続人に貸金の請求することになりますが、その相続人も相続の放棄を行ったため、他の相続人が判明しない状態になってしまった場合は、やはり家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをする必要があります。
このような申立てがあった場合、家庭裁判所は、利害関係のない第三者の弁護士等を相続財産管理人として選任するのが通常です。
相続財産管理人が選任されれば、ご質問のケースのように相当額の財産がある場合は、相続財産管理人から返済を受けることができます。ただし、被相続人が他にも複数の債務を負担していたような場合は、公平性に配慮した弁済となり、貸金全額の返済を受けられなくなることもあります。
なお、相続財産管理人選任の申立ては、やや難しいと感じられる方もいらっしゃると思いますので、弁護士に相談されることをお勧めします。