成年後見制度
解説
判断能力の低下した方は、契約などをされる際に、その契約を締結する行為がどのような法的意味を持つのかを全く理解できない状態にある場合があります。このような判断能力のない状態で契約を締結したとしても、法律上は無効ですが、相手方との間で契約の有効性などが争われた場合には、判断能力が上記のような状態であったことの証明は容易ではありません。
また、判断能力の低下した方が、契約を締結する等の行為について、ある程度の意味は理解できても、その契約が法的あるいは経済的にみて具体的にどのような意味を持つか、自分にとって有利な点、不利な点は何か、自分がどのようなリスクを負うことになるのか等を十分に理解することなく契約してしまう等の事態が生ずることも懸念されます。
そこで、高齢等の理由により、判断能力が低下傾向にある方について、予め、ある範囲の法律行為について、単独で有効な行為を行うことができないことにして、上記のような事態に陥ることを防止し、本人を保護するための制度が成年後見制度です。
Q&A
成年後見制度は、どのようにして本人の保護を図りますか
成年後見制度は、後見、保佐、補助の総称です。
後見の手続きでは、家庭裁判所が成年後見人を選任します。後見が開始すると、本人(成年被後見人)が行った契約などの法律行為は、取り消すことができます。ただし、日用品の購入など日常生活に関するものは、本人が単独で有効に行うことができます。成年後見人は、本人の財産に関して本人を代理して契約を結ぶなどの行為をすることができます。
保佐が開始すると、本人(被保佐人)は、借金をしたり、不動産等の重要な財産に関する契約をするなどの行為をするには家庭裁判所が選任した保佐人の同意が必要となり、この同意を得ずに行った行為は、取り消すことができます。一定の範囲の行為について保佐人に代理権を与えることもできます。
補助が開始すると、保佐の場合に同意が必要な行為の一部を本人(被補助人)がする場合に、家庭裁判所が選任した補助人の同意が必要となります。
さらに、詳しくお知りになりたいことがあれば、弁護士にお気軽にご相談ください。
成年後見は、どのような手続によってなされますか
判断能力が低下して、後見が必要になった場合は、家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをします。家庭裁判所は、本人の精神状況について鑑定を行ったり、本人等の意見を聞くなどして後見開始の審判をし、成年後見人を選任します。
後見開始の審判の申立てをすることができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官です。
保佐や補助も概ね同様ですが、補助開始の審判には、後見の場合と異なり、本人の同意が必要です。
さらに、詳しくお知りになりたいことがあれば、弁護士にお気軽にご相談ください。